ヘブル

ヘブル人への手紙

1章

多くの時代に、いろいろな方法で、昔預言者たちを通し、父祖たちに語られた神は、
2 この最後の日々に、神の御子息を通して私たちに語られました。神は御子息をすべてのものを引き継ぐ者と指名されました。また、この方を通して神は森羅万象を造られたのです。
3 御子息は神の栄光の輝き、またその本質の完全な現われであり、ご自分の御言葉の力によって、すべてを支えておられます。御子息はご自身を通して私たちのもろもろの罪をきよめられた後、高い所におられる、至高者の右に座られました。
4 御子息は相続によって御使いたちよりもっと優秀な御名を得られたことで、御使いたちよりはるかに優れた方となられました。
5 なぜなら、「あなたはわたしの子であり、わたしは今日あなたを生んだ。」と、以前どの御使いに、神は言われましたか。さらにまた、「わたしは彼のために父となり、彼はわたしに子となる」と神が言われたことがありますか。
6 そして、この長子を世に導き入れられた時、「神のすべての御使いたちに、この方を礼拝させなさい」と言われます。
7 そして、「ご自分の御使いを霊にし、ご自分の奉仕者を火の炎にする」と御使いについて言われます。
8 しかし、御子息に言われます。「神よ、あなたの御座は、永遠から永遠までであり、義の笏はあなたの王国のである。
9 あなたは義を愛し、不義を憎まれた。従って、神、すなわちあなたの神はあなたに喜びのオリーブ油を、あなたの仲間の者たち以上に、注がれた。」
10 そして、「主よ、あなたは最初に地の土台を据えられ、そして、天はあなたの手の作品である。
11 天と地は消滅するが、あなたは残られる。そして、これらすべては上着のように古くなる。
12 あなたは天と地を、外套のように巻かれると、天と地は変わる。しかし、あなたは同じであり、あなたの年齢は終わることがない。」
13 しかし、「わたしはあなたの敵をあなたの足台にするまで、わたしの右に座りなさい。」と、神はどの御使いに言われたことがあったでしょうか。
14 御使いたちは、救いを相続する人々に奉仕するため遣わされた、仕える霊ではありませんか。

2章

従って、聞いたことを絶対に漂失させないため、さらに真剣に注意しなければなりません。
2 なぜなら、御使いたちを通して話された御言葉が、確かであると証明され、すべての違反と不従順が公正な報酬を受けたなら、
3 最初、主によって話され、主の御言葉を聞いた人たちにより確認され、私たちに伝えられた、この偉大な救いを無視したなら、どうして私たちは逃れることができるでしょうか。
4 神ご自身のご意志による、しるしと不思議な業、数々の奇跡、そして聖霊の賜物で、神もまた証言しておられます。
5 なぜなら、私たちが話している、来たるべき世界を、神は御使いたちの権威の下に置かれてはいません。
6 しかし、一人の人が、あるところで証して言っています。「あなたが心に留めてくださる人間とは何者か。また、あなたがはぐくんでくださる人の子とは、何者か。
7 あなたは彼を御使いたちより少し低くされた。あなたは彼に栄光と栄誉の冠をかぶらせ、御手の作品の上に置かれた。
8 あなたは万物を彼の足の下に置き従わせた。」なぜなら、神が万物を彼の下に置き、服従させたのだから、神は人の子に従わないものは、何も残していません。しかし今はまだ、人の子の下にあるすべてのものを、私たちは目にしていません。
9 しかし、御使いたちより少し低くされたイエスが、死の苦しみのため、栄光と名誉の冠をお受けになったことを、私たちは見ています。それは、イエスが神の御恵みによって、すべての人のために、死をお味わいになるためでした。
10 なぜなら、万物のものは神のため、そして、万物を作られたのは神であられます。多くの子を栄光に導くのに、神がこの子たちの救いの先導者を、苦しみを通し、完璧な方にされました。それをやり遂げるには、神にとってふさわしいことでした。
11 実際に、聖別する方も聖別される者たちも、すべて一つから出たものです。そのため、イエスは彼らを兄弟と呼ぶことを恥とせず、
12 言われます。「私は御名を私の兄弟に告げる。集会中に、あなたを賛美する歌を歌う。」
13 そしてまた、「私はあの方を信頼する。」そしてまた、「見よ、神が私に与えてくださった、子どもたちと私はここにいる。」
14 それで、この子どもたちは同じ肉と血を持っているから、その方自身も同じ血と肉を持っておられました。それは死の力を持っている者、つまり悪魔を、死を通し滅ぼすためです。
15 そして、死の恐怖のため、全生涯、拘束されている人々を解放してくださるのです。
16 なぜなら、間違いなくこの方は、御使いたちに助け出すのではなく、アブラハムの種に助け出してくださいます。
17 それで、民の罪を消去するため、神の領域に関して、キリストは哀れみ深い忠実な大祭司になり、すべての点でご自分の兄弟たちと同じになられる必要があったのです。
18 なぜなら、キリストご自身、苦しまれ、試みられたのですから、試みに会う者たちを助けることがおできになるのです。

3章

従って、聖なる兄弟たちよ、天の招待に預かる人々よ、私たちの証の使徒と大祭司であられるキリスト・イエスについて深く考えなさい。
2 モーセが自ら神の家全体に忠実であったように、キリストもご自分を任命された方に対して忠実であられました。
3 なぜなら、家を建てる人はその家より栄光があるように、モーセ以上に栄誉を与えられるのに、ふさわしい方なのです。
4 家という家は人によって作られます。しかし、万物を造られたのは神であられます。
5 そしてのちに話される証として、モーセは神の家全体に、僕としてまことに忠実でした。
6 しかし、キリストはご自身の家の御子息として、忠実に取り仕切っておられます。もし私たちが希望の確信と誇りを最後までしっかり握っていれば、私たちがその家なのです。
7 従って、聖霊が言われるように、「今日、もしあなたがたが神の御声を聞くことがあれば、
8 荒野での試練の反逆の時のように、自らの心を頑なにしてはいけない。
9 そこで、あなたがたの父祖たちは神であるわたしを試し、試み、わたしの業を見ていた。
10 だから、わたしはその世代に対して憤って、言った。『彼らはいつも心の中で道を外れ、わたしの道を理解しなかった。』
11 それで、わたしは憤りながら宣誓した。『その者たちはわたしの休息の場に入ることはない。』」
12 兄弟たちよ、あなたがたの中で誰一人として、生ける神から離れ、不信の悪い心の者がいないように気をつけなさい。
13 むしろ、あなたがた誰一人もが、罪によりごまかされて頑なにならぬように、今日と呼ばれる日の内に、毎日互いに勧め合いなさい。
14 なぜなら、もし私たちの最初の確信をしっかり最後まで持ち続ければ、私たちはキリストと繋がっている者となります。
15 それはこう言われている間です。「今日、もしあなたがたが神の御声を聞くことがあれば、荒野の試練の反逆の時のように、自らの心を頑なにしてはいけない。」
16 というのは、聞いて反逆をしたのは誰ですか。それはもちろん、モーセに導かれてエジプトを出た全員ではありませんか。
17 それに、神は誰に対して四十年間憤っておられましたか。罪を犯し、荒野で死んで倒れたあの者たちにではなかったのですか。
18 そして、彼らは神の休息に入ることはないと、誰に対して神は宣誓されたのですか。従わなかった者たちに対してではなかったのですか。
19 そして、不信仰のために、彼らは入れなかったのだと、私たちは分かります。

4章

従って、神の休息に入る約束は残されていると言って、あなたがたの中に、到達しない者がいないよう、恐れましょう。
2 なぜなら、もちろん、私たち同様、福音は彼らにも説かれましたが、説かれた言葉は役には立ちませんでした。聞いたその者たちは、聞いたことに信仰を結びつけなかったからです。
3 「それで、わたしは憤りながら宣誓した。『あの者たちは、わたしの休息に入ることはない。』」と神が言われたように、信じた私たちはその休息に入っています。しかし、あの数々の御業は世の基礎づくりの時に、完成されています。
4 なぜなら、神はある箇所で七日目についてこのように言っておられます。「そして神はご自分の全作業を終えて、七日目にお休みになられた。」
5 また、この箇所にも、『彼らはわたしの休息に入ることはない。』とあります。
6 ある人々が休息に入ると言うことは、まだ残っているからです。そして、これを最初に説かれた人々は、不従順のため、入りませんでした。
7 ですから、神はある日を指定し、ダビデを通して「今日」と言われ、かなり長い時を経てから言われたように、「今日、御声を聞くことがあれば、あなたがたは自らの心を頑なにしてはいけない。」
8 なぜなら、もしヨシュアが彼らを休ませたなら、神は後で、別の日については言及されなかったでしょう。
9 神の民のために、休息はまだ残っているのです。
10 なぜなら、神はご自分の御業を休まれたように、神の休息に入った人も自らの行為を休みとするからです。
11 従って、同じ不信仰のあの見せしめに誰も陥らないよう、その休息に入るため、懸命に努力しましょう。
12 なぜなら、神の御言葉は生きていて、力に溢れ、いかなる両刃の剣より鋭く、たましいと霊、また、関節と骨髄の分かれ目までも突き通し、心の思いと考えを判別する能力があります。
13 そして、神から隠れることのできる被造物は何一つなく、私たちが弁明せねばならない神の御目には、すべては裸であり、開け放たれています。
14 数々の天を通って来られた偉大なる大祭司、神の御子息イエスが私たちについていることを知っておられ、私たちが宣言したことをかたく保持しましょう。
15 なぜなら、私たちの大祭司は私たちの数々の弱さに関して、同じ心を持っていない大祭司ではなく、私たちと同様、あらゆる点で誘惑されたのに、罪の圏外におられました。
16 従って、哀れみを受けるため、そして必要な時に御恵みをいただくため、私たちは恐れず、御恵みの王座に近づきましょう。

5章

それで、どの大祭司も人々の中から選び出され、人々の代わりに神に関する事柄で指名されています。それは、大祭司が罪のための捧げ物も生け贄も、捧げるためです。
2 大祭司自身も弱さをまとっているので、無知な人や迷っている人にやさしく同情することができます。
3 従って、彼は民のためと同様に、同様に大祭司自身のためにも、罪のために捧げなければなりません。
4 そして、誰もこの名誉を、己のためには手にしません。神に召された人、アロンのような人だけです。
5 そして、このように、キリストは大祭司になられるために、ご自分に栄光を与えられたのではありません。しかし、「あなたはわたしの子である。私は今日あなたを生んだ。」とキリストに言われた方が、そうなさいました。
6 また、別の箇所でその方は言われました。「あなたは永遠にメルキゼデクの系統の祭司である。」
7 キリストは肉体であられた日々、祈りと懇願を激しい叫びと涙で、ご自分を死から救うことのできる方に捧げ、敬虔の故、聞き入れられました。
8 御子息であられたのに、苦しまれた数々のことにより、従順を学ばれました。
9 そして完遂され、ご自分に従うすべての者たちの、永遠の救いの源泉になり、
10 「メルキゼデクの系統の祭司として」神に召されました。
11 彼について、私たちは話すべきことは多々ありますが、説明は難しい。あなたがたは聴力が鈍くなったからです。
12 なぜなら、もう、教師になっていなくてはならない時なのに、神の御言葉の基本原則の数々を、あなたがたにもう一度教える人が必要です。あなたがたには、固形食でなく、ミルクが必要です。
13 なぜなら、すべてミルクを飲む者は、乳飲み子なのだから、義の御言葉には経験がないのです。
14 しかし、固形食は成人に達した人たちの物です。すなわち、五感を使うことにより、善悪を判断できるよう、鍛えた人たちのものです。

6章


2 そういうわけで、キリストの基本原則の詳細は後に残し、成熟に向けて前進しましょう。死んでいる行為1からの悔い改めと、浸しの教理、手を置くこと2、死人の復活、永遠の裁きなどの、神に対する信仰の基礎を築くことなしにです。
3 神が許してくだされば、私たちはこれを実行します。
4 なぜなら、次のことは不可能です。一度光に照らされ、そして、天の賜物を味わい、聖霊に預かる者たちになり、
5 神の善き御言葉と来るべき時代の力を味わった者たちが、
6 背教をしたならば、再度、悔い改めに導くことなど不可能です。彼ら自ら、神の御子息を改めて十字架につけ、御子息を人前で辱めるからです。
7 なぜなら、よく降る雨を飲み、それを耕す人たちのために役に立つ植物をもたらす土地は、神から祝福を受けます。
8 しかし、茨やあざみが生じさせれば、その土地は見捨てられ、呪われたも同然で、その土地の終焉は焼却です。
9 しかし、愛する人たちよ、私たちはこうは言っているが、あなたがたに関してさらに良い、つまり、これもまた、救いを伴うことと私たちは確信しています。
10 なぜなら、あなたがたが示した神の御名に対し働きや愛の労働、昔も今もしている聖徒たちへの奉仕を忘れられるほど、神は不公正な方ではあられません。
11 そして、あなたがた一人一人が、この希望に全幅の確信を示し、最後まで勤勉でいることを私たちは望んでいます。
12 それは、あなたがたは怠惰にならずに、信仰と忍耐を通して約束を相続する人たちを見習う人になるためです。
13 なぜなら、神はアブラハムに約束された時、ご自分より偉大な方によって宣誓することがあり得なかったので、ご自分をさしてお誓いになり、
14 言われました。「間違いなく、あなたを祝福することで、あなたを祝福し、あなたを増やすことで、あなたを増やす。」
15 それで、アブラハムは忍耐を持って耐えた後、その約束を獲得しました。
16 なぜなら、確かに、人々はより大きいものによって宣誓します。そして確証を生じるための誓いは、すべての論争を終わりにします。
17 約束の相続者にご自分の約束が変わらないことをさらに示そうと決心され、神は誓いを立てられ、仲立ちなされました。
18 それは、神は偽ることができない、二つの不変のものにより、私たちには力強い慰めがあるためです。目の前に置かれた希望をしっかりつかむため、私たちは災難を逃れたのです。
19 私たちがたましいの錨として持っているこの希望は、確実であり、また不動です。そして、私たちの希望は幕の中に入って行くのです。
20 私たちのため、メルキゼデクの系統での、永遠の大祭司とされたイエスは、先駈けとしてそこに入られました。

7章

それで、サレムの王であり、最高位の神の祭司であるこのメルキゼデクは、王たちの虐殺から帰るアブラハムに会い、アブラハムを祝福しました。
2 アブラハムはこの人にすべてのものの十分の一を捧げました。このメルキゼデクとは、まず、「義の王」と訳され、それからサレムの王、すなわち「平和の王」と訳されています。
3 メルキゼデクは父もなく、母もなく、系図もなく、日々の始まりも命の終わりもなく、神の御子息のようにされ、いつまでも祭司としてとどまります。
4 それで、族長アブラハムさえも戦利品の最上のものから十分の一を分け、捧げられたこの人が、いかに偉大であったかを想像して見なさい。
5 そして、もちろんレビの息子たちの中で、アブラハムの体から出たのに、祭司職を受ける者たちは、民から、すなわち彼らの兄弟たちから、律法によって十分の一献金を受けよ、との命令があります。
6 しかし、彼らの系図から出ていない人が、アブラハムから十分の一献金を受け、この約束を有するアブラハムを祝福されました。
7 下位の者が上位の者に祝福されるのは、矛盾は全くありません。
8 一方で、死すべき者たちは十分の一献金を受けるが、他方で、生きていると証言されているその人はそれを受けます。
9 そして、十分の一献金を受けたレビさえも、アブラハムを通して十分の一献金を捧げたと言えます。
10 なぜなら、レビの父がメルキゼデクに会った時、レビはまだ彼の父の体の中にいました。
11 その祭司職の下で民は律法を受けました。従って、もしレビ人の祭司職を通してのものが完璧であるなら、アロンの系統によって立たせずに、メルキゼデクの系統によって、もう一人の祭司を召し出す必要がありますか。
12 なぜなら、祭司職と言うものを変えれば、律法も変える必要があります。
13 これらのことについて言われている方は、他の部族に属しておられ、祭壇に仕えたことのない部族です。
14 なお、モーセが祭司職について何も言及しなかった部族であるユダから、私たちの主が上がられたことは事実だからです。
15 それに、メルキゼデクのようなもう一人の祭司が上がられたことによって、さらにもっとはっきりします。
16 この方は肉体に関する律法の命令を通さず、終わることのない命の力によって来られました。
17 なぜなら、この方は証されています。「あなたは永遠にメルキゼデクの系統の祭司である。」
18 こうして、一方、以前の命令は脆弱、また役に立たないことのため、廃止です。
19 なぜなら、律法で完成したものは何もありませんでしたが、他方、良い希望がもたらされ、その希望を通して私たちは神に近づくのです。
20 そして、その方は宣誓なしに、祭司にされませんでした。
21 (なぜなら、その者たちは宣誓なしで祭司になったが、この方はご自分にこう言われた神の宣誓によって、なられました。すなわち、「主は宣誓して、悔やまない。『あなたは永遠にメルキゼデクの系統の祭司である。』」)
22 イエスがさらに有利な契約の保証人になられたことによってです。
23 そして、多くの祭司は職を続けることはできませんでした。死が妨害するからです。
24 しかし、この方は永遠に留まりますから、この方は変わることのできない祭司職についておられます。
25 そして、人々のため、とりなしをされるため、常に生きておられます。従って、またご自身を通して神に行く人々を、完全に救うことがおできになります。
26 それで、こういう大祭司が私たちにふさわしいのです。この方は聖であられ、悪意がなく、汚れていず、罪人からは隔離されておられ、そして処々の天より高くなっておられます。
27 この方は他の大祭司のように、まずご自身の罪のため、それから民の罪のため、毎日生け贄を捧げることを要求なされません。なぜなら、ご自分を捧げた時、一度で、すべてを完結されたからです。
28 律法は弱さのある男たちを大祭司として任命しますが、律法の後に来た誓いの言葉は、永遠に完全無欠の御子息を任命します。

8章

私たちの話していることの要点はこうです。私たちには、天におられる、至高者の王座の右に座っている大祭司がおられます。
2 人間ではなく、主が建てられた真の幕屋と、その大祭司はこの聖所の奉仕者です。
3 なぜなら、すべての大祭司は、捧げ物と生け贄を捧げるために任命されています。従って、この大祭司も何か捧げる物を持っておられる必要があります。
4 それで、もしイエスが地上におられたなら、祭司になることはありません。律法によって捧げ物を捧げる祭司たちがいるからです。
5 祭司たちは天の写しと影に対して仕えているのであって、その写しと影はモーセが幕屋を建てようとした時、神から厳しくお告げを受けたその型のとおりのものです。つまり、「山上で示された型に模して、注意してすべてを造りなさい。」と神はこう指示されました。
6 しかし、さらにイエスは、前よりよい、優れた奉仕を受けられました。ですからイエスは、さらによい約束に基く、さらによい契約の仲介者なのです。
7 なぜなら、あの最初の契約に欠点がなかったとすれば、第二の契約を求める余地はなかったでしょう。
8 なぜなら、祭司たちを非難して、神は言われます。「見よ、と主は言われる。わたしにはイスラエルの家とユダの家と、新しい契約を結ぶ日々が来つつある。
9 それは、イスラエルの父祖たちをエジプトの地から導き出すために、父祖たちの手を取った、あの日の契約とは同じでない。彼らはわたしの契約にとどまらなかったからである。それで、わたしは彼らを無視した、と主は言われる。
10 なぜなら、その日々の後、イスラエルの家とわたしが結ぶ契約はこれである、と主は言われる。わたしはわたしの律法を彼らの英知の中に入れ、彼ら各自の心に刻む。そして、わたしは彼らの神となり、彼らはわたしの民となる。
11 その中の誰も、隣人に、また兄弟に、『主を知りなさい。』と言って、教えることはない。なぜなら、最も小さい者から最も偉大な者まで、彼ら全員、わたしを知るからである。
12 こうして、わたしは彼らの不義を哀れみ、彼らの罪と不法の行為を、わたしはもう思い出さない。」
13 「新契約」と神は言われます。神は最初の契約を旧と宣言とされたのです。それで、旧となったものは、古くなり、消え去ろうとしているのです。

9章

それで、無論、最初の契約にも神への奉仕に関する規定があり、そして地上の聖所がありました。
2 なぜなら、天幕は準備されていました。前部は聖所と呼ばれる所で、燭台と机と供えのパンがあり、
3 それから、第二の幕の後ろに、至聖所と呼ばれる、天幕の後部があり、
4 そこに黄金の香壇と、全面、黄金でおおわれている契約の箱があり、その中にマナが入っている金の壷があり、芽を出したアロンの杖、そして契約の二枚の石板がありました。
5 その箱の上に、贖罪蓋を翼でおおっている栄光のケルビム3がありました。こういうことを、私たちは今、詳しく話をすることはできません。
6 さて、これらのものはこのように準備されると、祭司たちはいつも天幕の前部に入り、奉仕を行なっていました。
7 しかし、後部には、大祭司が年に一度、自らのために、また民が無知で犯した罪のために捧げる血を必ず携え、一人で入りました。
8 最初の天幕がまだ立っていたころは、至聖所に入る道はまだ明確にされてはいなかった、と聖霊は示しておられます。
9 天幕は今の時代のための象徴です。捧げ物も、生け贄も捧げられるが、その捧げ物も生け贄も、それを捧げる奉仕をする人を、良心に関しては完全なものにはできません。
10 それはただ単に、食べ物や飲み物、さまざまな浸しに関することであり、改正される時まで、課せられた肉の規定です。
11 しかし、キリストは、来るべき良きものの大祭司として来られました。手で造られたのではない、つまりこの世の創造ではない、もっと優れた、さらに完璧な天幕を通して、キリストは来られたのです。
12 山羊の血、子牛の血でもなく、ご自身の血で聖なる所々にただ一度だけ入り、永遠の贖いを得られたのです。
13 なぜなら、もし肉体を清めるために、雄牛や山羊の血や、また汚れた者たちにふりかけた、雌牛の灰が、聖別するとしたら、
14 永遠の御霊を通して、欠点一つも無いご自身を神に捧げられた、キリストの血は、なおさらのこと、生きておられる神に仕えるため、あなたがたの良心を死んでいる行為から、浄化されるのではありませんか。
15 そしてこのために、キリストは新しい契約のただ一人の仲介者であられます。それは、キリストは死なれたゆえに、呼ばれた者たちが永遠の相続の約束を受けることができるように、最初の契約4の下での違反をお贖いになるためです。
16 なぜなら、遺言5書がある場合、遺言者の死を示す必要もあるのです。
17 なぜなら、遺言者は生きている間、その遺言書には何の力もありません。人が死んだ後、有効になります。
18 従って、最初の契約でさえ、血なしで確定されたのではありません。
19 なぜなら、律法によって、命令はモーセによってすべての民に教えられ、モーセは子牛と山羊の血を手に取り、水、真紅の羊毛、そしてヒソプで、契約の書そのものとすべての民にふりかけ、
20 言いました。「これは神があなたがたに命令された契約の血です。」
21 そしてモーセは同様に、天幕に、そして奉仕のすべての器具にも血をふりかけました。
22 そして、律法によると、ほとんどすべてのものは血によって清められます。それで、血を流さずに罪の赦しはありません。
23 従って、天にあるものの写しはこれらによって清める必要があったが、天のもの自体はこれらより良い生け贄によって清められます。
24 なぜなら、真のものの複製品に、すなわち手で作られた聖所に入られたのではなく、天国それ自体に、私たちのため、今、神の御前にお目見えされるため、キリストはお入りになられたのです。
25 それは、毎年、大祭司は彼以外の血を持ち、至聖所に入るが、それと違い、キリストは幾度も、ご自分を捧げる理由はありえません。
26 そうすれば、キリストは世の初めから幾度となく苦しまねばならなかったでしょう。しかし今、世々の終わりに、ただ一度ご自分の犠牲によって罪を取り除くために現れてくださったのです。
27 そして、人間には一度死ぬことと、その後の裁きが定められているように、
28 同様に、多くの人の罪を負うため、キリストは一度捧げられました。そして、キリストを熱望して待っている人々に、キリストは二度目、罪なしで、救いのために現れます。

10章

なぜなら、律法にあるのは、来るべき良きものの影であり、その良きものの姿そのものではありません。毎年、絶えず捧げ続ける、同じ生け贄で、律法は近づく人々を完全にすることは決してできません。
2 それでは、捧げ物が、捧げられることは終わったはずではありませんか。なぜなら、礼拝者たちはひとたび清められば、もう罪の自覚はなかったはずです。
3 しかし、その生け贄の中に、毎年罪を思い起こさせるものがあります。
4 雄牛や山羊の血が罪を取り除く可能性はないからです。
5 従って、主がこの世に入られた時、言われました。「あなたは生け贄も捧げ物も好まなかったので、あなたはわたしのために体を準備した。
6 全焼の生け贄も、罪のための生け贄も、あなたはお喜びにならなかった。
7 それでわたしは言った。『見よ、わたしは来る。巻物の書に、わたしについて書かれている。おう神よ、あなたのご意志を実行するためである。』」
8 以前、言いました。「生け贄と捧げ物も、全焼の生け贄も、罪のための生け贄も、律法通りに捧げられた物、あなたはそれらを望まれず、お喜びにもならなかった。」
9 それでその方は言われました。「見よ。神よ、わたしはあなたのご意志を実行するために来る。」その方は次のものを立てられるため、前のものを取り払われるのです。
10 そのご意志によって、イエス・キリストの体を捧げられることを通し、私たちは全員、一度で永久に聖別されたのです。
11 そして、すべての祭司は毎日立ち上がり仕え、罪を取り除くことのできない同じ捧げ物を繰り返して捧げているのです。
12 しかし、一度、永遠に一つの生け贄を罪のため捧げた後、この方は神の右に座られ、
13 その時から、その方の敵がその方の足台にされるまで待っておられます。
14 一つの生け贄により、聖別されている人々を永遠に完璧にされたからです。
15 しかし、聖霊も私たちに証されています。なぜなら、聖霊は以前言われました。
16 「『それらの日々の後、わたしが彼らと結ぶ契約はこれである。』と主は言われる。『わたしはわたしの律法を彼らの心に入れ、彼らの英知にそれを記録する。』」
17 さらに後で言われました。「彼らの罪と不法の行為を、わたしはもう決して思い出さない。」
18 それで、これらの赦しがある以上、罪のための生け贄はもう存在しません。
19 兄弟たちよ、従って、イエスの血によって大胆に至聖所に入り、
20 イエスが私たちのために、垂れ幕、つまりご自分の肉体を通り、生きる新しい道を確定されました。
21 そして、神の家を仕切る大祭司がおられるのだから、
22 偽りのない心をたずさえ、信仰による全幅の確信で、後ろ暗い良心だったが、水を振りかけられた心で、そして純水で洗った体で、近づきましょう。
23 約束してくださった方は真実なのですから、私たちの希望の言い表わしを、揺れ動くことなく、堅く握りしめましょう。
24 そして、愛と善い行ないを鼓舞するため、互いに配慮しましょう。
25 ある人々のように、共に集まることを止めたりせずに、かの日が近づいているのが見えて、なおさらのこと、互いにもっと励まし合いましょう。
26 なぜなら、真理の知識を受けてから、もし私たちが故意に罪を犯せば、もう罪への捧げ物は残っていません。
27 ただ、例の恐ろしい、あの予想される裁き、そして、敵対するものたちを食い尽くす、燃える怒りが残るだけです。
28 モーセの律法を拒む者は誰であれ、二人、または三人の証言で、情け容赦なく、死に至ります。
29 それで、神の御子息を踏みつけ、自らを聖別してくれた契約の血を、不潔とみなし、そして御恵みの御霊を侮辱した者は、なおさらのこと、どれほどもっと厳しい刑罰に値することを考えてみなさい。
30 なぜなら、「復讐は我にあり、我は借りは返す。」と主は言われます。そしてまた、「主はご自分の民を裁かれる」と言われた方を私たちは知っています。
31 生ける神の手中に落ちると、恐ろしいことになります。
32 それで、明るみに出された後、あなたがたは、数々の苦しみの偉大なる戦に、耐えた以前の日々を思い出しなさい。
33 時に、あなたがたは数々の非難、数々の迫害に会い、さらし者にされ、また時には、そのように扱われた人々の仲間にもなりました。
34 なぜなら、繋がれた私を、あなたがたは哀れみ、あなたがたの持ち物を奪うことを喜んで認めてくれました。天国ではあなたがたはもっと良い、不朽の物があると、自分たちの間に知っていたからです。
35 大いなる褒賞があるのだから、自分たちの確信を捨て去ってはいけません。
36 なぜなら、神のご意志を行なった後、あなたがたが約束を受けるためには、忍耐が必要なのです。
37 「なぜなら、今しばらく時間が経つと、来るべき方は来られる。遅れることはない。
38 それで、義人は信仰によって生きる。それで、退く者がいれば、わたしの魂はその者を喜ばない。」
39 しかし、私たちは破滅まで退く者ではなく、魂を保つことに至るまで信じる者たちです。

11章

さて、信仰は望むものの形態であり、目に見えないものの証拠を得るものです。
2 長老たちは、この信仰により、良い証は得られたからです。
3 私たちは信仰により、万物は、神の御言葉から造られたと、理解しています。ですから、目に見えるものは、目に現れているものから成ったのではありません。
4 アベルは信仰により、カインよりはるかに優れた捧げ物を、神に捧げました。神はアベルの捧げ物を認められ、アベルは正しいと証されました。アベルはこれを通して、死んでもまだ、語っています。
5 信仰により、エノクは連れ去られたので、エノクは死を見ませんでした。「そして、神はエノクを連れ去られたので、エノクは探しても見つからなかった。」連れ去られる前、エノクは神を喜ばせたと、この証を得ていたからです。
6 信仰がなければ、神に喜んで頂くことは不可能です。なぜなら、神の所に行く者は、神は存在され、そして、神を熱心に求める者に報酬を与えてくださることを、信じなければなりません。
7 信仰によりノアは、まだ見えていないものについて、警告され、敬虔な恐れに動かされ、自らの家の者たちを救うため、箱船を整えました。このことでノアは、世を裁き、信仰による義の相続者になりました。
8 信仰により、遺産として、受け取るべき所に出発せよ、と使命を受けた時、アブラハムは従い、行く所も知らず、出て行きました。
9 信仰により、外国に住んでいるように、アブラハムは約束の地に滞在し、同じ約束の共同相続者である、イサクとヤコブと共にテント生活をしていました。
10 それは、設計者も制作者も神であられる、土台のある町をアブラハムは待ち望んでいたからです。
11 信仰により、サラ自身も子を宿す力を受け、年齢が過ぎて子を産みました。約束された方が真実な方と、よく分かったからです。
12 従って、もう死んだも同然の一人の男から、空の星のように数多く、海辺の砂のように数え切れない子どもが生まれました。
13 この人々は全員、信仰を抱いて死にました。これらの約束を受けずに、この人々は、遠くからこれらの約束を見て、確信し、その約束を歓迎し、自分たちは地上の外国人で、逗留者であると、認めました。
14 なぜなら、このようなことを言う人々は、祖国の地を求めていると、表明しています。
15 そして、真剣に、出立した国を思ったならば、帰る機会はありました。
16 しかし、彼らは今、さらに良い国、つまり天の御国を求めています。ですから、彼らの神と呼ばれることを神は恥とせず、彼らのために市を準備されました。
17 信仰により、試されたアブラハムはイサクを捧げ、数々のあの約束を受けたアブラハムは、ただ一人の生まれた息子を捧げました。
18 その息子について言われました。「あなたの種はイサクにあり、と言われる。」
19 神は死からさえも、イサクを復活させることができると、アブラハムは考えた末、結論を出し、比喩の言葉通りに、死から息子を受け取りました。
20 信仰により、来るべき数々のことに関して、イサクはヤコブとエサウを祝福しました。
21 信仰により、死に臨んでいたヤコブは、杖の頭部に身をゆだねながら、ヨセフの息子たちを一人一人祝福し、それから礼拝しました。
22 信仰により、死に臨んでいたヨセフは、イスラエルの子らの出国について思い、自分の骨について命じました。
23 信仰により、モーセは生まれると、両親はその子の美しさを見たので、王の命令を恐れず、三ヶ月間、隠しました。
24 信仰により、年齢に達した時、パロの娘の息子と呼ばれることをモーセは拒み、
25 罪の短期間の快楽を楽しむより、むしろ神の民と共に苦しむことを選び、
26 エジプトの宝より、キリストの迫害の方が大いなる富と判断しました。なぜなら、その報いを求めていました。
27 信仰により、モーセは王の怒りを恐れず、エジプトを後にしました。モーセが耐えたのは、目では見えない方を、見ていたからです。
28 長子たちを亡き者とした方が、子どもたちに手を触れることがないよう、モーセは過越祭と、血を振り掛けることを守りました。
29 信仰により、彼らは紅海を陸上と同様に通過したが、そこを、同様に通過しようとしたエジプト人たちは、飲み込まれました。
30 信仰により、七日間包囲されて、エリコの城壁は倒れました。
31 信仰により、売春婦のラハブは、平和裏にあの間諜たちを受け入れ、信じない者たちと共には滅びませんでした。
32 私はこれ以上、何を言いましょう。ギデオン、バラク、またサムソン、エフタ、またダビデ、サムエル、預言者たちについても話せば、時間は足りません。
33 信仰を通して、彼らは数々の王国を征服し、義を行ない、約束を得、ライオンの口を閉じ、
34 火の力を消し、剣の刃を逃れ、弱さから強くされ、戦いの勇者になり、外国人の軍隊を逃走させました。
35 女たちは死んだ者たちを、復活させてもらいました。他の人たちはさらに良い復活を獲得するため、釈放を受け入れず、拷問されました。
36 他の人たちは侮辱され、ムチで打たれ、それに鎖と投獄の試練を受けました。
37 彼らは投石刑で殺され、のこぎりで二つに切断され、試され、剣で殺害されました。羊や山羊の皮を着てさまよいました。極貧状態で、苦しめられ、虐待されました。
38 この世は、この人々に、価値のあるところではありませんでした。この人々は砂漠や山、地のけもの穴、洞窟と、さまよい歩きました。
39 この人々は全員、信仰を通して証を得ましたが、例の約束6は受けませんでした。
40 この人々には、私たちと別に、完璧にならぬよう、神は私たちのために、さらに良いものを準備されました。

12章

その理由で、私たちはまた、雲霞のごとき証人に、包囲されているのだから、各自の重荷と、容易に私たちを捉える罪を放棄し、忍耐を持って私たちの前に置かれている競走を走りましょう。
2 私たちの信仰の創始者であり、完成者であるイエスを見つめて走りましょう。イエスは、ご自分の御前に置かれた喜びのため、あの十字架を耐え、恥をものともせずに、ついに神の王座の右に座られました。
3 あのような、罪人たちからの、敵意に耐えた方のことをよく考えなさい。あなたがたが魂の内に疲れ果て、弱り果てないためです。
4 あなたがたはまだ、罪に立ち向かい、血を流すまで戦ってはいません。
5 そして、子どもに話すように話した勧めを、あなたがたは忘れています。すなわち、「わが子よ、主のしつけを軽んじてはいけない。また、主にとがめられて、落胆してはいけない。
6 なぜなら、主は愛する者をしつける。そして主は受け入れる子たち一人一人を、ムチ打たれる。」
7 もしあなたがたがしつけを堪え忍ぶなら、神はあなたがたを子として扱っておられます。父からしつけを受けない子がいるでしょうか。
8 しかし、もし誰でもが受けるしつけを、受けない人がいるなら、その人は私生児です。
9 その上、私たちには、私たちを正す人間の父がいて、敬意をはらいました。なおさらのこと、霊の父に従順を示して、生きて行くべきではありませんか。
10 なぜなら、人間の父たちは、数日間、父たちにとって十分と思うまで、私たちにしつけを与えましたが、神は、私たちの益のため、私たちが神の聖を受け入れるため、私たちにしつけを与えました。
11 さて、どのしつけも、その時は、喜ばしいものでなく、悲しみです。しかし、後で、義の平安な実が、しつけによって訓練された人々に実ります。
12 ですから、衰弱した両手、また麻痺した両の膝を強め、
13 そして、あなたがたの足のために、まっすぐな道をつくりなさい。そうすれば、不自由な足は関節をはずすことがなく、それどころか、治癒します。
14 すべての人と共に、平和、そして聖を追い求めなさい。聖なしには、誰も主を見ることはありません。
15 神の御恵みに、欠落する者がいないよう、また、苦みの根が芽生えて問題を起こし、それにより、大勢の者が汚れることがないよう、注意深く見張りなさい。
16 また、一椀の食事のため、自らの長子権を売ったエサウのような、性的な罪を犯す者や、反宗教の者を出さないためです。
17 なぜなら、知っての通り、後になっても、祝福を受け継ぐことを願い、エサウは涙を流しながら悔い改めるべき時を求めても、拒否されました。
18 なぜなら、触れることができる、火で燃える山に、また暗黒や、暗やみ、嵐に、あなたがたは近づいてはいないからです。
19 また、ラッパの音や、言葉を話す声もあり、それらを聞いていた者たちが、もう話さないで欲しいと懇願したあの声に、あなたがたは山に近づいてはいないからです。
20 「そして、野獣であっても、その山に触れれば、石打刑で殺されるか、矢で打たれなければならない。」と命じられたことに耐えられなかったからです。
21 そして、その光景は、あまりにも戦慄すべきものだったので、「私はとても怖くて震えている。」とモーセは言ったほどです。
22 しかし、あなたがたはシオンの山と、生きておられる神の都、すなわち天国のエルサレムに、また無数の御使いたちの集まりに来て、
23 天国に登録された総会、すなわち長子たちの教会に、またすべてのものの裁判官であられる神に、また完全にされた正しい人たちの霊のところに来て、
24 新しい契約の仲介者であられるイエスの所に、またアベルの血より雄弁に語る、注ぎの血の所に来たのです。
25 語られる方を拒否しないように気をつけなさい。なぜなら、地上で警告を語られた方を拒んだ者たちが、逃れることができなかったのに、まして、天から語られる方に背を向け、逃れることはあり得ません。
26 その時、その方の御声は地を震わせたが、今その方は約束して言われます。「後、もう一度、私は地だけではなく、天をも震わせる。」
27 またこの「後、もう一度」とは、震えるもの、つまり造られたものは取り去られ、震えることのできないものは残ることを示しています。
28 従って、私たちは不動の王国を受けるのだから、畏敬と畏怖を持って、神に仕えることができる恵みを保持しましょう。
29 なぜなら、私たちの神は焼き尽くす火であられる方だからです。

13章

兄弟愛が続くようにしなさい。
2 旅人をもてなすことを忘れてはいけません。なぜなら、これによって御使いたちとは気がつかず、もてなした人々がいるからです。
3 あなたがたも、共に、鎖でつながれているのだ、そして、同じ肉体だ、と言う気持ちで、あの虐待されている囚人たちを、忘れてはいけません。
4 結婚はすべての面で、貴ばれるべきです。その寝台を汚してはいけません。しかし、性的な罪を犯す者たち、また、姦淫をする者たちを神は裁かれます。
5 あなたがたの行為に、金銭欲があってはなりません。そして、今、持っているもので満足しなさい。「あなたを決して置き去りにしないし、見捨てもしない。」と神ご自身は言われているからです。
6 ですから、私たちは自信を持って言えます。「主は私の助け人である。私は恐れない。人間は私に何をできるか。」
7 あなたがたを導く人たちであり、あなたがたに神の御言葉を話された人たちを忘れてはいけません。その人たちの行ないの結果をよく考え、その人たちの信仰生活をまねなさい。
8 イエス・キリストは昨日、今日、そして、永遠に同じであられます。
9 さまざまに異なる、そして奇妙な教理に惑わされてはいけません。なぜなら、食べ物でなく、恵みによって揺れ動かない心を持つのは立派なことです。食べ物中心の生活をして、その食べ物で益を得た者はいません。
10 私たちには祭壇があります。天幕に仕える者たちはその祭壇から食べる権利はありません。
11 なぜなら、罪のため、大祭司が持って来た数々の動物の血は、聖所に運び入れられますが、その動物の死体は野営地の外で焼かれます。
12 従って、ご自身の血によって民を聖別されるため、イエスも門外で苦しまれたのです。
13 ですから、私たちは、イエスの言われなき侮辱を負って、野営地の外におられるイエスのところに行きましょう。
14 なぜなら、私たちには、地上に永続する市はありません。しかし、私たちは来るべき市を求めています。
15 従って、キリストを通し、神に賛美の捧げ物、つまり、御名をほめたたえる私たちの唇の果実を、神に絶えず捧げましょう。
16 しかし、良い行ないをすること、そして分かち合うことを忘れてはいけません。神はそのような捧げ物を、大いに喜ばれるからです。
17 あなたがたを導く人たちに服従し、従いなさい。導く人たちは、後で申し開きをしなければならない人として、あなたがたの魂の見張りをするのです。導く人たちが、悲しむことなく、喜びを持って、努めが果たせるようにしなさい。そうでなければ、あなたがたには利益はありません。
18 私たちのために祈りなさい。なぜなら、私たちには優れた良心があり、すべてのことに、恥ずべき行為はしないという、確信があるからです。
19 しかし、私が早急にあなたがたのところに戻れるように、あなたがたがこの祈りを実行するよう、切に願います。
20 そして、永遠に有効な契約の血により、羊たちの偉大なる羊飼いであられる主イエスを、死人たちの中から復活させられた平和の神は、
21 ご自身のご意志をあなたがたは実行するため、すべての良い働きに関して、あなたがたを備えてくださり、イエス・キリストを通して、ご自身の御目に喜ばしいことをなさい
22 皆さんにお願いします。私の勧めの言葉を受け入れてください。そのために、私は言葉の少ない手紙をあなたがたに書いたのです。
23 私たちの兄弟テモテが、釈放されたことを承知しておいてください。テモテがすぐ来れば、テモテと共にあなたがたに会いましょう。
24 あなたがたを指導する人たちと、すべての聖徒たちに挨拶をしてください。イタリアからの聖徒たちは、あなたがたに挨拶をしています。
25 あなたがた全員に、御恵みがありますように。アーメン。


  1. むなしい行為。  

  2. 按手礼。  

  3. ケルビムとは、翼のある天使である。  

  4. モーセの契約。  

  5. 新約聖書のギリシャ語には、「契約」と「遺言」は同じ単語である。  

  6. 旧約聖書にある、キリストを預言した約束。